スタッフN村による着物コラム
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またも行きました大相撲(笑)。同時三人大関誕生かと騒がれた名古屋場所は、優勝した豊昇龍だけが大関昇進。
私の推しの若元春はあと一歩及ばず、九月場所も関脇として迎えることになりました。

九月場所で土俵を沸かせたのは、なんと言っても21歳の再入幕力士・熱海富士でした。

私のスー女仲間は照ノ富士が所属する伊勢ヶ濱部屋を全面的に支持しているので、熱海富士も幕下時代から注目してましたが、
一度幕内から陥落して、二度目の幕入りで千秋楽まで優勝争いをするとは思ってもいませんでした。
横綱休場、新大関たちの不振があったとはいえ、あれよという間に優勝決定戦。
決定戦ではベテラン大関の貴景勝にまんまとかわされてしまいましたが、それもまたいい経験でしょう。
上位陣が星の潰し合いで頭打ち状態の中、確実に世代交代の波が押し寄せています。急げ若元春(笑)!
116.大相撲和装dayと昇太・宮治二人会
五月場所で予告した通り、出かけましたよ九月場所も。しかも和装dayを狙ってチケットを予約。
和装dayというのは、和服で相撲観戦に行くと、ちょっとお得なサービスのある日なんですが、何故か事前に発表がないんです。
ファンクラブ会員の友人が先行抽選チケットを申し込んでくれるんですが、その時点では何日目なのかわからない。
これまでの実施日を勘案するに、どうやら二日目と九日目の月曜日に実施されてるようだと当たりをつけ、二日目を選択。
開催直前になって相撲協会のサイトで発表されたのは、やはり二日目と九日目でした。
相撲協会もあれこれファンサービスに努力はしてますが、こういうところがまだトンチンカンなんですよね。
どうせならもう固定するか、チケット発売時にこの日が和装dayですよと印つけてくれればいいのに。
とはいえ、総勢五人中、着物で行くのは私と、最近着物に目覚めた友人のダンナの二人だけ。
もちろん枡席で正座なんかできませんから、椅子席の二列目に陣取りました。九月とはいえ残暑の真っ只中。
友人ダンナは晏の展示会でオススメした阿波しじら。私も無地の阿波しじらでお付き合いしました。

国技館に入ると、ファンクラブに特製団扇を配っていて、和装dayの記念品もそこでくれるというので並びました。
もらったのがこれ。力士の写真入りパッケージの柿の種ならぬ「勝ちの種」売店では350円で売ってました(笑)。

もうひとつの特典は、行司さんとの記念撮影。1時までに一階フロアのロビー集合、遅刻したら受け付けないという。
着いたのが12時過ぎだったので、あわててお弁当を掻っ込んで、順番待ちの列に並びました。
和装の定義は、着物はもとより、浴衣や甚平もOKで、一人が和装なら連れは洋服でも撮影に参加できます。
子供に甚平を着せて、親は洋服という親子連れがいっぱい。レンタル着物っぽい外国人女性もいます。
洋服で来た私の姉もちゃっかり列に並びました。順番が来ると、スタッフに自分のスマホを渡し、二枚撮ってもらえます。

若手の行司さん二人、一人は足袋雪駄履きなので十両以上格と思われますが、
もう一人は括り袴に裸足なので幕下格かな?お名前を記憶してないのが残念です。
行司にも格付けがあり、十両、幕内格と幕下以下格では装束も違い、十両格から足袋を履くことが許されます。
最高位が結びの一番を裁く立行司。脇差を身につけ、差し違いがあれば腹を切る覚悟で臨むんだそうな。
いや、現在の立行司はやたら差し違いが多いんですが、進退伺を出すだけで腹は切りません(笑)。
呼び出しにも同じ格付けがあり、結びの呼び出しは立呼出といいます。力士と違って年功序列の定年制ですけどね。
以上、和装dayの特典はこの2つ。たまたま早く入ったからいいけど、2時頃来たんじゃ間に合わなかった。
なんだかなあ、そういうインフォメーションもHPとかでちゃんと発信してほしいよね。よろしく相撲協会。
さて土俵の方は一人横綱の照ノ富士が休場なので、横綱土俵入りもなく、ちょっと寂しい。
取組中は例によってやたら興奮しているので、一つ一つの勝負はほとんど記憶にありません。
が、この日最高の好取組は、元大関の朝乃山と、若き新関脇・琴ノ若の一番でした。

立合いで回しを取りそこねた朝乃山が土俵際に押し込まれるも、うまく回り込んで回しを取り直し、
大きな琴ノ若を上手投げで豪快に転がしました。両者が土俵際に押し込まれると、満員の館内は大どよめき。
嵐のような拍手と歓声で、もう今日はこの一番だけで大満足(相撲内容は、相撲協会HPの動画で確認しましたw)。
このあと角番大関(負け越すと陥落の危機)の霧島・貴景勝は勝ちましたが、
先場所優勝の新大関・豊昇龍が北勝富士に初黒星。
その後の不調を予感させる、波乱含みの一番でした。
それから、生観戦ならではの面白い出来事がありました。
大相撲では幕内の取組にいろいろな企業や団体が懸賞金をかけ、勝った方の力士がもらえる制度があります。
取組の前に企業名や商品名を書いた懸賞幕を、呼び出しさんが掲げて土俵を一周する時、
館内では企業名と宣伝コピーを読み上げています。
NHKの実況中継では、アナウンサーや解説者の音声をかぶせてしまうので、それはテレビでは聞こえません。
この日、好角家で知られる高須クリニックの高須院長が、パートナーで漫画家の西原理恵子さんと来場。
いつも派手な身なりで砂かぶり席(土俵の真下の最前列)に座るので、テレビにもよく映ってます。
高須クリニックは後半の取組に何本も懸賞をかけるので、何度も「Yes、Yes、Yes、高須クリニック」というアナウンスが流れ、
観客もわかっているので大きな拍手と歓声が沸き起こり、そのたびに高須院長が手を上げてそれに応えます。
高須院長は癌の闘病中であることを公表しており、それをみんなが知っているのか、満場の拍手はとても温かいものでした。
相撲ファン同士、院長へのエールのように思えました。下手な力士より目立っていた、タニマチの中のタニマチですね。
さて、次の九州場所では、横綱照ノ富士が復帰するかどうか微妙なところ。
九州は無理だけど初場所はまた行こうねと、仲間と誓い合ったものでした。
その翌週は、立川のたましんRISURUホールで、春風亭昇太と桂宮治の二人会です。

だいぶ涼しくなってきたので、着物姿の女性のグループなど、和服の人が多いのはうれしいもの。
私は翌日着物で文楽に行く(ああ忙しいw)ので、この日は余力(?)を残すためパスです。
昇太の弟子・昇ちくが『鈴ヶ森』で開口一番、続いて桂宮治が登場。マクラでこのホールの微妙な位置をイジります。
誰でもやることなんですが、なんでだろう、なんか感じが良くない。
品川生まれの品川育ちで、武蔵溝ノ口から南武線で来たというから、東急の沿線に住んでるんでしょう。
立川という中途半端な(多摩地区では一番ですが)栄えっぷり、駅から徒歩20分という中途半端な距離をイジり倒す。
そりゃあまあ品川区民から見たら田舎なんだろうけど、なんか上から目線を感じてしまう。
多摩都民の僻みと言われればそれまでですが、上手な人は田舎をディスりながら自分も下げて笑いを取ります。
宮治は秋川キララホールでも見ましたが、その時は毒舌が売りの立川談笑との二人会。
談笑も思いっきりスベってましたが、宮治もそれに釣られたのか、あまりいい印象がありませんでした。
田舎者の自虐的な笑いに頼りすぎると、しっぺ返しを食うぞ。笑点ではいい人キャラに見える宮治、毒舌は似合わないと思うよ。
ネタは珍しい(私は初見)の『蜘蛛駕籠』。なんだかスピード感というより早口すぎる気がしました。
中入りあって、音曲の桂小すみが登場。これが今日一番のトピックでした。
最初は三味線を爪弾きながら、しっとりと『さのさ』などを聴かせてましたが、だんだん脱線。
インド舞踊の髪飾りをかぶると、三味線をシタールみたいに立てて、インド音楽風に掻き鳴らし、歌うはオリジナル曲『カレーの作り方』。
しまいには尺八を取り出して、『Amazing Grace』を演奏。
いや、私このメロディが大好きで、胸にじーんと染み渡り、思わず涙が出そうになりました。
後で昇太が言ってましたが、東京学芸大学を出て、ウィーン音楽大学に国費留学したエリートなんですと。
西洋音楽を知り尽くした人が邦楽をやると、こんなことまでできるんだと、驚きと感銘ひとしおです。
ま、昇太は税金の無駄遣いと言って笑いを取っていましたが(笑)。
そしてトリは落語芸術協会会長の昇太。笑点の司会も務め、思えば桂歌丸師匠と同格ではありませんか。
偉くなったもんですが、芸風は変わりません。そのへんの普通の人の口調で古典も新作もやっちゃいます。
ネタは『茶の湯』。隠居して暇を持て余す大旦那が、隠居所に前の住人が残していった茶室で茶道具を発見。
まったく茶道の知識はないが、小僧相手に知ったかぶりで茶の湯もどきを始める。
青黄粉にムクロジを加えて泡を立て、それを茶の湯と信じて二人で飲んでは腹を下す。
茶菓子目当てに来る客もいたが、菓子代をケチって芋を灯し油で練り固めた饅頭に替えると、誰も相手にしなくなる。
事情を知らない隠居仲間が茶の湯をご指南願いたいとやって来るが、そのあまりのひどさに雪隠から饅頭を投げ捨てる。
それが隣の畑の百姓の頬に当たり、百姓が言うには「ああ、また茶の湯か」、がサゲ。
「追い詰められて困った人」をやると最高におかしい昇太ですが、腹を下してヘロヘロになった小僧が可愛いやら可哀想やら。
ご隠居も小僧の手前、茶の湯を知らないとは言えず、どんどんあらぬ方向へエスカレートしていきます。
昇太はよく、故・三遊亭圓楽に『芝浜』(人情噺の名作)できねえんだろ、とからかわれていましたが、
いいじゃないか、人情噺ができなくたって。こんなにおかしい茶の湯ができるんだから。
昇太の高座を見るたびに、うんうん、これが昇太なんだよね、これが面白いんだよね、とやたら寛容な自分がいます。
昇太の師匠・柳昇は、ん、いいのいいの、江戸言葉なんかできなくても、と言ってたそうですが、まさにその境地。
かつて新作落語で落語界に新風を吹き込んだ昇太、その口調のまま、軽々と古典落語にシフトしてしまう。
その身軽さは他の落語家とは一線を画しています。小三治の『茶の湯』と較べるなんて野暮な真似は、ええ、しませんとも。

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