スタッフN村による着物コラム

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コロナウィルスのアウトブレイクを防ぐ(もうしてると思いますが)ために、首都圏の一斉外出自粛要請が出た週末。

自粛を後押しするように関東地方に大雪が降りました。先日車検のついでに夏タイヤに交換してしまったので車も出せず、おとなしく自粛しました。

おかげで本コラムも書き上げることができました。写真は春爛漫の庭を雪が覆ってしまった光景です。

去年も確か花盛りの時期に雪だったよな? と思い、調べたらなんと410日の雪でした。こう毎年だともはや驚きもしません。

不安ばかりがつのる日々、久しぶりに忌野清志郎の声が聞きたくなり、『カバーズ』のCDを引っ張り出しました。

〽でもよー、何度でも何度でもオイラに言ってくれよ、世界が破滅するなんて嘘だろう〜♪…涙が出そうになりました。

 

88.大相撲三月場所

コロナウィルス蔓延の影響で、観梅旅行も落語会もみんな中止になってしまい、今月のネタを考えあぐねている中、はたと思いつきましたよ大相撲。

開催か、中止か、無観客かとさんざん気をもんだ三月場所、やってくれました相撲協会。史上初の無観客開催、そしてNHK完全中継!

協会員に一人でも感染者が出たら即中止という宣言のもと、異様な緊張感の中で15日間、力士、親方衆、行司呼び出し床山に至るまで頑張り抜きました。

英断だったし、見事にミッションを果たしたすべての相撲協会員に感謝、感謝です。この時期相撲中継があることで、どれだけの視聴者が救われたことか。

一斉休校の子どもたち、外出を控えたお年寄りたち、もちろん私らもともとの大相撲ファンにも、素晴らしいプレゼントになりました。

第一人者の横綱白鵬が最終的に優勝しましたが、千秋楽まで優勝争いがもつれ込み、その上場所後には新大関・朝乃山誕生という嬉しいニュースも。

終わり良ければ全て良し、というところですが、実際の三月場所は、異例ずくめの異様な雰囲気の中で行われました。

人っ子一人いない(実際は報道陣やテレビスタッフや相撲協会の職員がぽつりぽつりいますが)、赤い毛氈が敷かれたすり鉢状の観客席の底に土俵があり、

その周囲に審判を務める親方衆。いつもなら途中で交代する親方もずらりと並んでいるのに、当番の5人が東西南北に離れてぽつんと座っている。

あとは呼び出し、行司、次に土俵に上がる力士だけ。中継アナウンサーと解説者は観客席の中ほどに離れて設けられた放送席にいる。

その代わり、土俵下、いわゆる砂かぶりに観客がいないのでカメラは寄り寄り。幕内力士の土俵入りなど、いつもならありえないアングルと距離です。

声援も拍手もない中、特に横綱土俵入りは神事としての荘厳さを再認識させてくれました。

横綱の後ろに控える立行司の「シューッ」という警蹕(お静かに、という意味の合図)、四股の音、柏手の音、普段聞けない音が無人の館内に響き渡ります。

そして取組。呼び出しの声、力士のルーティンで体をバシバシ叩く音、筋肉と筋肉の(時に骨と骨の)ぶつかる音、荒い息遣い、勝負あった!の行司の声。

いつもなら拍手と歓声にかき消されて、決して聞こえないものばかり。初日こそ違和感を覚えましたが、慣れてくるととても興味深い発見でいっぱい。

私達はすっかりこの異例の無観客興行が気に入ってしまいました。私達、と言いましたが、実は相撲好きの友人とLINEで実況トークしているのです。

もともと高校時代からの女友達9人でグループを作っていたのですが、そのうちの一人と毎場所実況トークしていたらさすがに追い出されました(笑)。

こっちでおやり、と相撲部屋を作られて、今はスー女二名と、初心者一名で思う存分語りまくり。テレビの前でスマホ握りしめています。

その上別のグループの友人が、息子さんが大学の相撲部出身で、子供の頃から入間少年相撲クラブに所属していたと知り、そっちでも語るので大忙し。

友人の息子さんはプロには行かなかったけれど、そのクラブでは人気の阿炎関や、大栄翔関、北勝富士関などと一緒で、今も仲良しなんだそう。

友人は彼らのお母さんとママ友で、本場所見に行ったり、関取たちと一緒に写真を撮ったり、なんとうらやましいことでしょう。

なのでこちらのLINEでは埼玉少年団と呼んで阿炎、大栄翔、北勝富士の応援をメインでやっています。

一方、スー女の友人は、博多に単身赴任中、九州場所を見に行くようになってハマったそうです。九州場所は比較的チケットが取りやすいらしいです。

おまけに三遊亭円楽が主導する博多天神落語まつりにも行って落語にもハマり、リケジョらしい理詰めのオタクぶりを発揮しています。

昨年定年退職してご主人の待つ川崎に戻り、今は夫婦仲良く落語と相撲で充実したリタイアライフを送っている模様。

白鵬の大ファンというところがちょっと私と噛み合わないのですが、そこはまあ、野球でもサッカーでもありがちなこと。共通の話題には事欠きません。

あ、私ですか、私はゆるーい相撲ファンを子供の頃からかれこれ半世紀、深い知識はありませんが、昔のことをよく知っています(笑)。

一番古い記憶はまだ白黒テレビの大鵬、柏戸のいわゆる柏鵬時代。「巨人大鵬卵焼き」と言われた時代にその全部が嫌いだった変な子供です。

そもそも父親がアンチ巨人、アンチ大鵬だった影響なんだと思いますが、現在に至るまであんまり横綱が好きじゃない。判官贔屓歴長すぎです。

解説の北の富士さんの現役時代も覚えています。大関の初代貴乃花ファンだったので、どっちかというと横綱北の富士はヒール的存在だったなあ。

同じく解説でおなじみの舞の海さんも大好きだった。今の炎鵬並みの人気でしたよ。伝説の曙との取組はリアルタイム(テレビだけど)で観てました。

忘れられないのは、職場で観ていて、上司とどっちが勝つか賭けをしたこと。もちろん舞の海に賭けた私は、鬼上司からまんまと500円せしめましたとさ。

あわわ、もう賭博罪も時効ですね(笑)。歴代力士No.1は、現・錣山親方の寺尾。次が現・陸奥親方の霧島。寺尾のお兄さん、故・井筒親方の逆鉾と、

井筒部屋三人衆が大好きでした。井筒親方の急死は悲しかったし、錣山、陸奥両親方が解説担当の日はもう嬉しくてたまらん。

だからお二人の愛弟子・阿炎と霧馬山は当然応援します。阿炎は親方譲りの突き押し相撲ですが、親方の解説ではもうけちょんけちょん。そこがまたイイ(笑)。

ここまで読んで相撲好きの方ならおわかりでしょうが、要するにイケメン好きなのです。これはもう病のようなものでどうにもなりませんね。へへ。

こういうスー女二人のやりとりに、何にでも首突っ込みたがる初心者の、子育て終わってヒマな主婦が食いついてくるので、彼女は大変です。

立行司、徳俵、相四つ、前ミツ、給金相撲、注文相撲、電車道、専門用語が出てくるたびにググってるらしいので、相撲見ている暇がないんじゃないかしら。

それでも初場所、三月場所と食い下がったおかげで、力士の顔も随分覚えたし、コメントもなかなか冴えてきた。来場所が楽しみです(←なんて上から目線w)。

私も注目力士以外は流し見していたのが、一番一番ていねいに見るようになり、これまですっとばしていた徳勝龍や隆の勝、照強なんかも大好きに。

おばさんたちでキャアキャア言いながら見ているので、力士たちはすっかりあだ名で呼ばれるようになりました。

十両まで盛り返した照ノ富士はテリー、逸ノ城はイッチー、霧馬山はキリー、照強はツヨポン(または塩まき男)、

シブ5時相撲部で大食いぶりを紹介されていた豊山はご飯(絵文字)くん、笑顔が大人気の隆の勝はオニギリ(絵文字)くん、

阿炎は前方にぶっちゃけた姿からアビカエル(絵文字)、徳勝龍はお公家顔で奈良県出身なので麻呂、やたら取組前の仕草が多い北勝富士はルーティン男、

そして新大関朝乃山は、かしこくも御皇嗣家のご長女で結婚問題がこじれてるプリンセスに似ていると誰かが言い出し、プリンセス大関(笑)。

とまあ、正統派相撲ファンからはお叱りを受けそうなミーハー観戦ですが、毎日バイト先から大急ぎで帰ってきて、スマホもバッチリ充電し、テレビの前へ。

相撲協会の英断のおかげで、本当に楽しい二週間でした。千秋楽には優勝した白鵬の息も整わぬ中で、髷を整えながらのインタビュー、

そして幕内全力士が土俵脇に整列し、異例の理事長あいさつ。時々声をつまらせながら、頑張った力士を称え、関係者、ファンへ謝辞を述べていました。

何をおっしゃる、感謝するのはこちらこそですよー、協会員御一同様、ありがとう!と、LINE上には賛辞の嵐。

そして三賞授賞式や、手打ち式、行司胴上げの神送りの儀式まで、珍しいものをたくさん見せてくれて、無観客の三月場所は終わりました。

このままコロナウィルスの蔓延が続いたら、五月場所の開催もどうなるかはわかりませんが、ネタに困ったらまた相撲話になるかも。

だっていながらにしてタダで楽しめる伝統芸能(?)だし。次は行司の装束などについても書いてみたいと思います。ではお粗末ながらこれにて打ち止め。

 

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