スタッフN村による着物コラム

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どうも、先月ついに40度超えを記録し、全国でも有数の暑い町に認定された青梅からお届けします。

例年都心より3〜4度は涼しく、エアコンなんぞワンシーズンに23回使うかどうかだった当地ですが、どうしたんでしょう今年は。

さすがに生命の危機を感じ、父親の寝室に急遽エアコンを設置。一息ついたら旧盆を境に朝晩肌寒いほどの涼しさ。

んでまた台風が近づくと猛暑がぶり返し、エアコン様様と拝んでいます。

そんな異常気象のせいか、ここんとこ、朝早くによくキジが家の周りをうろうろしてます。鳴き声が大きいのですぐわかります。

最近ハンターの減少で、野生動物が大手を振っていて、キジも生息数がかなり増えてるようですが、家の前を横切るとは!

ま、キジと犬ならいいけど、サルは勘弁してください、サルは。サルが出るようになると農作物は壊滅的にやられます。

もう山一つ向こうの村には群棲してるらしいです。頼むからこっちへ来るなよー。

 

72. 「春風亭一之輔のドッサり回るぜ2018in立川

最近テレビでも時々お目にかかる一之輔、落語仲間の友人も今イチオシで、かねてから一度聞いてみたいと思いつつ、機会がなかなかありませんでした。

この度おなじみ立川のたましんRISURUホールで独演会があると聞き、おっとり刀で駆けつけましたよ。

先月の落語教育委員会は小ホールでしたが、こちらは大ホール。1200の客席がほぼいっぱい。周囲の客の会話を聞いてると、かなりコアなファンが多い。

一之輔初見の私としてはアウェイ感満載です。開演するなりいきなりポロシャツに短パン、カンカン帽にハンドマイクで本人登場。

春風亭違いの昇太なんかはよくやるスタイルだけど、古典の人だと思っていたので少々度肝を抜かれた。

そして噂の毒舌トーク炸裂。去年は小ホールでやりましたが、今年は大ホールしか取れなかったんで(ウソつけ)、ところで駅からここまで歩いてきた人ー

と挙手を求め、(このホールは立川駅から徒歩15分)じゃあちらほらある空席は、暑さに力尽きてここまでたどり着けなかった人の席ですねーとくる。

この独演会は全国ツアーで、一週間前には有楽町のよみうりホールでやったんだけど、そっちに来た人ーとまた挙手を求めると、

けっこういるなあ、やるこた同じなんだけどね、と毒舌を吐き、あ、ネタは違うよ、ネタは、とフォロー。

じゃあ、一番遠くから来た人はーと振って、えーと、本州以外! っていねえか、というと手が上がり、なんとニューヨークからだという女性。

毎年このツアーに合わせて帰国するんだそうな。スゲエ、そんなファンが付いてるんだ。

前日同じホールで昇太・たい平二人会があったんだけど、それも来た人ーと、これもまたかなりいる。

ネタ何だった?と聞くと、口々に「青菜」「壺算」と声が上がる。なんだー、「青菜」やろうと思ってたのになーと悔しがる(ホントか?)。

すると別の女性客から「子供ネタやってー、子供ネタ」と声がかかり、子供ネタったっていろいろあって…っておれは流しのギター弾きじゃねえ!

とまあ、言いたい放題のトークタイム終了、代わって開口一番に二つ目の柳家小太郎が上がって『唖の釣り』。なかなか珍しいネタだなあ。

続いて高座着に着替えた一之輔登場。

一席目は『天狗裁き』。うたた寝している亭主があまり気持ちよさそうで、さぞ楽しい夢を見ているんだろうと、揺り起こした女房、

「ねえ、お前さん、どんな夢見てたの? 教えてよ」「いや、俺は夢なんか見ちゃいねえよ」「嘘! 見てたでしょ! 教えて!」「見ちゃいねえって!」

と夫婦喧嘩になる。仲裁に入った友人にも、大家にも夢なんぞ見てねえと言い張り、怒った大家に長屋を追い出される。

そりゃあんまりだ、恐れながらと訴え出て勝訴はするが、奉行にも夢の内容を教えなかったので奉行所の庭の松に逆さ吊り。

そこに猛烈な風が吹いて吹き飛ばされた亭主が着地したのは恐ろしい大天狗の面前。「助けてやったのだから夢の内容を教えろ、さもなくば八つ裂きだ」

「ウ〜ン、助けてくれ〜」「お前さん、そんなにうなされてどんな夢見たんだい?」がサゲ。夢の内容を教えてとねだる女房がなかなか可愛い。

トークの毒舌に比べると、ヘンな言い方だがちゃんとしてる。口跡も声も姿もよく、所作もすっきりと綺麗。うん、要するに上手いなあ。

続いて二席目は『臆病源兵衛』。まったく聞いたことのない噺だったので、実はよく覚えてなくて、東大落語会の落語事典に当たると、あった。

でもなんだか聞いた噺と違うような気がしてYOUTUBEで検索すると、桃月庵白酒の所演しか出てこない。

どうやら、演じ手がなく埋もれていた噺を白酒が発掘して、一之輔も白酒バージョンでやってるみたいです。

源兵衛という極端に臆病な男を怖がらせて酒の肴にしようと企んだ男が、逆に窮鼠猫を噛むで殴られて…うーん、説明しづらいし、サゲも難しい。

演じられなくなったのも仕方ないかな、という噺なんで、これはこんなとこでいいか。源兵衛の臆病っぷりは面白かったです。

 

中入りあって三席目。おっ、『子別れ(子は鎹)』きたか。流しのギター弾きじゃねえとか毒づいてたわりに案外素直じゃん(笑)。

ストーリーは当コラム67回、橘屋文蔵の所演で紹介したので省略。さすがにリクエストが来るくらいだから子供が上手い。

亀吉は可愛いし、こましゃくれていながら健気。大工の父親は文蔵バージョンより内省的で、女房は色っぽい。

夫婦がよりを戻し、「子は鎹ですねえ」というあたり、客席からすすり泣き。私もちょっとじわっと来た。この噺、泣けるかどうかは亀吉のキャラ次第だな。

 

いやあ、初見でしたが一之輔落語、たっぷり堪能しました。端正、正統、明瞭にしてじわりと毒気。

桃月庵白酒と通じる芸風だけど、見た目が白酒よりソリッドなので毒気はこっちのほうがキツイかな。

で、客席のファンのコアっぷりがちょっとドン引き。しかし今の落語界の先頭を行く一人だってことは間違いないですね。

遅ればせながら注目していきたいと思います。

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