スタッフN村による着物コラム
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裏山にぽつんと一輪、山百合の花が咲いていました。
百合は球根が歳を重ねるほど花の数が増えて行き、
一本の茎に十いくつもの花をつけることもあります。
しかしそうした大きな百合根は、なんとイノシシの大好物。
みんな食べられてしまうので、近頃はそんな大株の百合を見かけなくなりました。
どこからか種が飛んで来て、一輪だけ咲いた一年生山百合。
いつか茎がたわむほどにたくさんの花をつけてほしいものです。
25.今回は伝統食作り
伝統芸能とも伝統衣装ともとんとご無沙汰してしまっているこのごろ。
だからというわけではないのですが、食の分野で伝統にチャレンジ。日本の代表的伝統食、梅干しです。
先だっても青梅の写真を掲載しましたが、梅干し用はもっと熟したほうがいいので、写真は先日の梅から10日ほど後に収穫したものです。
青梅という地名は伊達ではなく、このあたりではどこの家にも梅の木がたくさん植えられています。
うちにも10本ばかりありますが、その中で最も古くて(たぶん100年超)大きな木の梅を使いました。
実も大きくてちょっとしたスモモくらいはあります。
3キロ強の梅に対し12%の塩をして、7キロの重しをかけて数日。
梅酢(ここではまだ白梅酢)が押し蓋の上まで上がって来ました。
梅は綺麗な黄色になりました。
赤ジソも大きく育ったので、さあ今日は本漬けをしようとシソの準備をしていたら、先日結婚した甥夫婦がやって来ました。
そして、シソを入れる前の塩漬けの梅が食べたいと言うのです。
確かに食べてみると、すっぱしょっぱいのは当然ですが、非常にフルーティーでほんのり甘い。
おいしいおいしいと言うので、ついタッパー一杯あげてしまいました。これじゃ3キロ切っちゃうかな。
さて、赤ジソの揉み込みです。シソは梅の重さに対して一割ほどですが、なにせ葉っぱだけで300グラムというのは結構な量。
まあ、その辺に勝手に生えているのを摘み取ってくるだけですから、労力をいとわなければさしたることでもありません。
しかし梅からシソから買って作るんじゃ大変だよなあ。出来上がった梅干し買った方が安いくらいだわ。
一抱えも刈ってきて、ちぎった葉っぱがこの写真。これで300グラムです。
これに20%ほどの塩を加えて力任せに揉み込みます。黒ずんだ紫の汁が出て、両手はすっかりドドメ色。
これを2回繰り返して、紫の汁すなわちアクをよく絞ります。
ここへ白梅酢を加えるとあら不思議、鮮やかに発色して、綺麗な赤梅酢になりました。この瞬間は何度やっても面白い。
これを塩漬け梅の桶に戻すと、すべての梅酢が真っ赤に染まります。
それにしても、梅とシソを合わせることをいったい誰が最初に思いついたんでしょう。
梅が秋の果実でも、シソが春先に茂るものでも、この出会いはなかったんですよね。
昔の人の知恵ってホントにスゴイなあと今さらながら感心します。
さあ、これでまた軽く重しをかけて、梅雨明けまで保存です。
これまでの重しでは重すぎるので、何か適当なものがないかと知恵を絞り、思いついたのがペットボトル。
350㎖のボトルに水を入れしっかり栓をして、押し蓋が梅酢に浸かるまで載せて行きます。結果的に4本載せました。
一週間ほどして突然の梅雨明け宣言。
いやいやいや、確かに雨降ってないけどさ、まだ7月の初めだよ?
うちのあたりは7月のお盆なんですが、お盆前に梅雨が明けることは滅多にないんです。
土用干しというくらいですから、7月の末に干すものですが、いい具合に色もついたし、まあいいや、と干し始めました。
それまでかんかん照りだったのに、干し始めたら曇ったり夕立があったりで、4、5日かかったでしょうか。
なかなか綺麗に干し上がりました。塩漬けの写真と比べてみてください。
家族の評判も上々なのですが、その実うちの一家はあんまり梅干しを好んで食べないんですよね。
私にとってはタダの材料で遊べる理科の実験みたいなものですし。
せっせと知り合いに配って、お菓子やお酒になって返って来るのを期待することにしますか(笑)。
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